小学校二年生のT君、字を書きに来てくれました。

7月31日
T君の習字

 今朝、8時、小学校2年生のT君が、「和尚さん、習字を教えて…」と来てくれました。私は、お盆のお塔婆を書いている最中です。座ったままの仕事ですから「いいよ。ここに座って。」と受け入れました。大きな机の前に、新しい筆と紙と墨液を持ったT君が座りました。

 「学校の宿題なの」
 「うん、四字書くことになっているので、この字を書きたい…」とメモを見せてくれました。そこには、T君の字で、「温故知新」と書いてありました。

 「これを書くの。書き順分かる。」
 「わかる。」
 「筆で書くの初めて…。」どうも初めてのようです。「温故知新」は難しいだろうな…と思いました。でも、和尚さんに習って、この字を書きたいと言うのは、T君の意志のようです。

 「よし、じゃ、手本を探そうか」と千字文を一字、一字、探しながら、四つの文字を拾い出しました。
 そして、まず、温の字を紙に書いて、「同じように書いてごらん」と書かして行きました。筆を鉛筆のように寝かして持っています。

「おっさんのを見てみな。筆がまっすぐやろ。よう見て、おんなじように書いていきな」温の字を4~5枚書きました。同じようにして、古、知、新、も書きました。千字文には薪という字しかなかったのですが、それを新の手本にしました。

 つきに、私が「温故知新」と3枚手本を書いて、「この上から字をなぞって、とめなさい」と指示しました。力ずよいタッチでとめています。

 そして、一枚の手本を書いてあげて、「これを見ながら、止めたくなるまで、何枚でも書きな」とT君か持ってきた清書用の紙に一枚、一枚書いていってもらいました。

 この間、私は、塔婆を書きながら、「筆が寝てきたよ」「筆の先をそろえ直した方かいいな」「もっと大きく書いてごらん」「それいいね。」と声をかけます。

 T君は、持ってきた水筒から、お茶を出して飲んで休憩をとったり、外のトイレに行ってきたりしながらも、私の塔婆を書くところをちゃんと見ているのです。

 「和尚さん、小筆とどっちが書きやすいの」
「和尚さん、どうして墨何べんもつけないで書けるの」と聞いてきます。そんなやりとりをいれながら、T君たっぷりと2時間、10時まで書きつづけました。

 この集中力には驚きました。小学校2年生なんですから、すごいです。

「どうしてずっと座っていられるの」と聞きます。「そうやね。T君も最初は泳げなかったでしょう。でも、練習して、だんだん長いこと泳げるようになったでしょう。座るのもおんなし。だんだんと長く座れるようになるよ」と、応えます。

 私もちょっと休憩して、T君か清書した字を何枚か、いいところに赤丸をつけながら、「ここのはね方かいい」「ここに力がはいっているのがいい」「この大きさがいいね」と評価しました。

 そして、最後、一枚書いてみようかと提案。「温を書いた後、下の白いところの空き具合を見て、できるだけ下げて書きだそうか…」と指示して、温を書き、古を書き始めの場所を考えさせているとき、お客さんが来てしまいました。立って行った私が戻ってくると、T君の清書は終わっていました。
 なんと見事に、バランスを取って書けているではありませんか。

 「やったね。字がそろっているね。おっさんの手本と変わらないくらいに書けてるよ」
 はじめて筆をもった子とは思えないできぶりにびっくりしました。
 楽しい2時間はあっという間にすぎていきました。

 「おっさんは、T君が大好きやから、いつでもお盆が済んだら、また来たらええよ。習字でも、勉強でもなんでも教えたるでな。清書に名前書いとくか…」
 「うううん、また練習するで名前はそれからにする」とT君は、表に出て釣鐘を撞いて帰って行きました。

 この間、私は結構、塔婆も書きながら、T君につき合ってもらって仕事が出来たという喜びにつつまれていました。こんなうれしいことはありません。何時でも、勉強に来て下さい。そうそう、途中で、今私が考えている構想をT君に語りました。

 「あのな、おっさんな、学校の帰りに、T君らがお寺によって、15分、30分と好きなだけ、自分で問題を解いて、毎日勉強か゛続けられる場所を作ろうと思っているんや。そしたらT君も勉強にきてくれるかな…」と。「うん」と私の顔を見ながら頷いてくれていました。

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