黒ニンニクの因縁がこんなところに…。

9月7日

 法事に出かけたお家が団地の中にあって車が止められない。スーパーを経営する友人の空き地にとめさせてもらった。声をかけている時間がない。そのまま法事に…。
 法事を終えて挨拶をしようと店に入ると誰もいない。店は開いているのだが中には誰もいない。奥の冷蔵庫や倉庫の方まで行って、声をかけてみたが誰もいない。そんなときは、販売は店の前だけ。無人販売である。近所の人には常識になっていることなのだ。

 無人販売の品物は、すべて店先に並んでいる。ぶどう、ナシなどの果物と野菜がならんでいた。680円と値段が大きくかかれている。「料金はこの箱の中へ…」と段ボールで作った貯金箱のような箱がおかれている。「おつりは自分でもっていってください」とザルに入れた小銭が無造作に置かれている。

 店を出ようとすると、お客さんが入ってきた。「外においてあるブドウがほしいのですが…」と、衣を着た私に声をかけてこられた。

「店には誰もいませんね。外のブドウだったらお金を入れて持っていってもらえばいいんですよ。どうぞ…」

 「ええっ、いいんですか。」とけげんそう。私も外に出ながら、「こちらにお住まいの方ではないんですか」と聞くと、隣町の人である。実家に帰った帰りという。

 「そうですか。私は、小俣町の慶蔵院の住職です。ここは、いまどき珍しい、町中の無人販売所。すべての人を信頼していますから、この世の中に悪い人無し…。すべて信用販売。どうぞそこにお金を入れて持っていってください」と私。

「それじゃ入れますから見ていて下さい。」「お釣りもいいですか」と千円を入れる。

「見てなくてもだいじょうぶですよ。どうぞ、どうぞ。お釣りをおとりください」と私。

「このナシももらっていっていいですか」

「これは地元産のものだと思いますよ。よかったらどうぞ。」

 お客さんはナシも買って行かれました。思わぬことで無人販売の手伝いをして、少し離れた母屋まで声をかけにいってみました。玄関を入って声をかけると中から返事がする。着替えをしているらしい。
「いままで稲刈りをしとって、帰って来たばっかしや。これから昼ごはんや…」という。時間は3時前。
 車を止めさせてもらったお礼を伝えて、しばらく雑談をした。

西里さんの絵

 「あっ、そう、そう。3万2000個のニンニクを植えることにしたよ。この15日に『てらこや』の皆で植え込むことにしている。よかったら身に来て…」
 奥さんが横から…
「ニンニク作るんやったら、青森産の六ぺん。こんなのがいいに…。」
「そやな…。今回は、手に入らなかったけど…」
「このニンニクを黒ニンニクにする。そうや、黒ニンニクを始めて食べたのは、ここでや。ほれ、野田君が選挙に出て、応援に届いた黒ニンニク。初めて食べさせてもらったな。いっぱい食べたのを思い出した。」
 
 野田君は、町村合併が進む中、小俣町の伊勢市への合併は吸収合併になり、小俣町の良さが失われると合併反対を掲げて町長に立候補したことがある。もう10年以上も前のこと…。結果は敗北に終わったが、合併がいかに小俣町にとってマイナスであったかは、その後の展開が証明している。

 この時、合併反対をかかげた野田さんを応援して黒ニンニクをとどけてくれた人がいたのである。
野田君も思い出したように…、

 「そや、あれ、北村さんがくれたんや。2~3回届けてくれた。あれ、その後、なんにも言うとらんこと、気になっとったんや…」

 「北村さんって、どこの北村さんや」

「ほれ、牛とらのスーパーの前で、衣料品店やっとった北村さん…」

「なんや、そんなら、こんどニンニクを作る指導をしてもらうのが、この北村さんや。お父さんのお葬式をさせてもらったのが縁や…。ぼくが最初に食べた黒ニンニクが北村さんのやったとは…。ことは10年前からはじまっていたのか。ここにつながるとは…。じゃ、ぜひ、ニンニクづくり、見に来てな…」

「よっしゃ、わかった。」

「ほんなら、3時には子どもが勉強に来るから行くわ…。さいなら」と差しだされたコーラのコップを飲み干して野田君と別れた。
 長いつきあいだが、これほど気心が知れた間柄は、会って、一言、ふたことと言葉を交わしているだけで、楽しくて元気になる。
 それにしても、黒ニンニクにこんな因縁があったとは…。また「仏さんや…」と実感した。

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